トラブルだらけの状態から脱却した私はうつでした
私が新聞販売店を経営している時は睡眠を2~3時間程度にして、とにかく仕事に打ち込んでいました。
振り返ると常にイライラして社員に当たったり、取引先や見ず知らずの人と喧嘩のトラブル多発、運転をすれば違反や事故も多く免停はしょっちゅうでした。
また、ミスも多くどんなにがんばっても人からの信頼はなくなり、絶望したこともありました。
私は、子どもの頃から人を笑わせたり、喜ばせて笑顔を見るのが好きで、人一倍「人のために」という気持ちが強い人間のようです。
親からはよく「人の顔色を見過ぎ」だと注意されたものです。
ですので、気持ちが伝わらず逆効果になってしまった時は「喜んでもらおうと思ったのに」と、落ち込んだり、塞ぎ込んでしまうことがよくありました。
それは、大人になってからも同じで、仕事のすべては社員やお客さまに喜んでいただくために費やしていたと言っても過言ではありません。
「喜んでいただくためには」と考え、調べて企画して、シナリオをつくって実行して…
反省点はいっぱいありますが、とにかく「人のために」という想いで一人で、睡眠時間を削りがんばり過ぎるわけです。
「あなたのためにがんばったのに」
「みんなに喜んでもらおうと思たのに」
その想いが強すぎるだけでも問題ですが、そこに睡眠不足が重なるとネガティブ思考になるわけです。
それが続くと負のスパイラルとなり
「オレはなにをやってもダメだ」
「どうせオレは」という劣等感が強くなりました。
その結果、すべての人が私をバカにしているように思え、家族の顔さえ見たくなくなり、部屋に閉じこもってしまうことが年に何回もありました。
今思えばあれは睡眠不足からくる「うつ状態」であったと言えます。
うつ状態が頻繁に起きる、または長く続く。
これを放置すると、うつ病になるわけですが気がついた時にはどうすることも出来なくなってしまいました。
ある時に友人から、睡眠時間が取れない私を心配してくれて睡眠セミナーを勧められます。
それがきっかけで睡眠を学ぶようになり、短時間でも昼間に眠くならずにハイパフォーマンスな仕事ができるようになりました。
ミスで悩むこもなく、人に気持ちが伝わらなくても少し凹みはしても塞ぎ込むことはなくなっていました。
そして気がつけば、うつ状態にさえならない自分がいました。
社員もうつ病【まるでリハビリテーションセンター】
また、私自身だけではなく、入社した社員が実は「うつ病」だったということも何回もありました。
最初の1~2週間はなんの問題もなく仕事をするのですが、ある日突然、出てこなくなります。
毎日、注意しても遅刻は直らないし、ミスはどんどん増えていきます。
そして、「辞めさせてください」と辞表を出されるんです。
よく話を聞くと、「実はうつ病で面接の時にいうと採用されないと思ったので言えませんでした」とのこと。
私も辛い思いをしていたので、よく話を聞いて「がんばらなくていいけど、がんばろう(笑)」
と、とにかく不安にならないようによくコミュニケーションをとって、先ずは睡眠がきちんと取れるようにゆっくり休んでもらいました。
そして、お医者さんにアドバイスをいただきながら、三人四脚で少しづつ配達シフトを組んで、オリジナルのリハビリを続けていきました。
あの時は経営者ということもあったので休みの日もとにかく毎日、足を運んでコミュニケーションも取りましたが、一番大事なのは睡眠でした。
もっというと、規則正しい生活です。
食事も決まった時間に取るようにして、適度に散歩をしてきちんと寝る。
平均2ヶ月くらいで普通に仕事に復帰します。
早い者で1ヶ月でよくなり、「お陰さまでよくなりました!やりたい仕事があるので退職します!」なんてこともありました(笑)
私の持論ですが、きちんと寝て生活のリズムをつかむ。
これにつきます。
私自身も、うつ状態になってしまった時は部屋に塞ぎ込んでしまうのですが、とにかく寝ていました。
というより、ボーっとしているといつの間にか寝てしまって下手すると24時間寝ていたなんてこともありました。
そして、2日くらいすると仕事に復帰できたのです。
当時は最低な経営者をしてましたが、睡眠の専門家になって言えること。
それは、「うつ病」や「うつ状態」は睡眠をきちんと取って睡眠不足を解消することで改善したり、治ったりするきっかけができるということです。
これが、実体験からお伝えしたいことです。
注目すべき睡眠障害
私も実体験から睡眠不足が続くと精神的に不安になったり、落ち込んだりと抑うつが強まっていく経験をしました。
お読みいただいている皆さまもご経験されたことはありませんでしょうか。
このような状態が、うつ病にかかりやすくなるということが分かってきて、うつ病の発症や早期発見する指針としても睡眠障害が注目されています。
睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題がある状態をいい、実に107種類に及びます。
睡眠障害は、睡眠が不足する事から日中に強い眠気等がもたらされる「不眠症」、夜間長時間眠っているにもかかわらず日中の強い眠気がもたらされる「過眠症」や無呼吸症候群などの睡眠呼吸障害などがあります。
うつ病になる方の約9割が眠りに関する悩みを抱えている
※厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会」報告 平成26年3月「健康づくりのための睡眠指針2014」より
というデータがあります。
寝つきの悪さ、途中で起きてしまい再入眠できない、朝早く起きてしまう、熟睡できない。
また、日中眠くてしかたない、居眠りをして注意をされる。
脚がむずむずしたり火照ったり、脚をじっとさせていられないためによく眠れないことや適切な時刻に入眠できず、希望する時刻に起床することができないことなど症状があげられます。
これらの症状も睡眠障害なのですが、睡眠不足が続いてストレスを感じる、空虚感に襲われる、意味もなく不安になったりイライラしたりする、またうつっぽいと感じる場合はかなり危険信号です。
また、長く寝ても疲れが取れない、日中も眠かったり、怠惰感が続く方はうつ病の可能性があります。
実は、睡眠不足からうつ病になるのか、うつ病が引き起こしている睡眠障害なのか原因は様々ですが、いずれにしても上記のような症状を少しでも感じたら、先ずはゆっくり休んで睡眠を取ることが大事です。
うつ病とうつ状態の違い(参考)
よく質問を受けるので私自身の経験と、いくつかの文献を参考にして私なりの見解をまとめました。
それは「うつ病」と「うつ状態」です。
※DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引:日本語版用語監修日本精神神経学会 監訳 高橋三郎・大野裕 訳 染矢俊幸・神庭重信・尾崎紀夫・三村將・村井俊哉 医学書院, 2014
地域精神保健福祉機構HP
青山渋谷メディカルクリニックHP
医療法人秀明会杉浦こころのクリニックHP
2つの明確な違いは、「うつ病」までには至っていないのが「うつ状態(抑うつ状態とも言います)」ということで境はあいまいですが、うつ症状としては、憂鬱(ゆううつ)気分はもちろんのこと次の症状が目安になります。
不眠(睡眠維持困難と言われる中途覚醒や早朝覚醒)、食欲や性欲の低下、意欲の低下、精神活動がのろくなったような感じ、疲れやすさ、楽しめなさ、朝方のみ調子が悪い日内変動などです。
ただし、「うつ病」と「うつ状態」を見分けるポイントは
どのくらい長く続くのか
ということが一つ言えると思います。
2週間以上、「うつ状態」が続き何をやっても上記の症状が改善されない場合は「うつ病」の可能性が高いと考えられます。
また、違いを整理すると
上記の症状が、「うつ病」は強い、「うつ状態」は弱い。
妄想は、「うつ病」は妄想的になることがある、「うつ状態」は現実からずれない。
日常生活は、「うつ病」は大きく影響され変化する、「うつ状態」はそれほど大きな影響はない。
状況からの影響は、「うつ病」は良いことがあっても変化がない、「うつ状態」は良いことや楽しいことがあると少し気分が上がる。
周囲から見て、「うつ病」は理解できないことが多い、「うつ状態」は理解できることが多い。
仕事や趣味は、「うつ病」はまったく手につかない、「うつ状態」はやっていると気がまぎれる。
などがあげられます。
どちらの症状にしても、とにかく休養を取って寝てください。
こんな研究結果があります。
1989年、アメリカの国立精神衛生疫学集水域研究の一環として7954名の地域住民を対象に睡眠とうつの関連性を1年間にわたり追跡調査が行われました。
調査開始時点と1年後の再調査時の両方の時点で眠れていなかった人々は、眠れていた人々と比べてうつ病を発症する割合が約40倍も高かった
と驚きの報告がされています。【ダニエル・E・フォード及びダグラス・B・カメロウ。睡眠障害と精神障害の疫学研究:予防の機会? アメリカ医師会ジャーナル1989 9月15日; 262(11)】
繰り返しになりますが、2週間以上、上記の症状が続く方はとにかく
休養を取って寝てください。
そうは言っても忙しくて休めない、睡眠時間が取れない、またストレスで寝れないということは私自身もよくあります。
それが現実なのかもしれませんね。
そういった場合は、私自身が体験した睡眠の質を高める方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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