昼間の強烈な眠気は睡眠障害かもしれません

根本的改善【眠気は覚ますのではなく上手く付き合う】

昼間の眠気をその場の応急処置でのりきることはいわゆる「付け焼刃」となってしまい根本解決にはなりません。
たとえカフェインなどで誤魔化しても、量が増えてしまい結局は身体に負担がかかってしまいますし、睡眠負債はどんどん溜まっていく一方です。
そして、睡眠障害や病気になるリスクは高くなると言えます。

やはり、根本的改善が大切です。

毎日しっかり寝ているから睡眠負債なんてあるはずがない

そう思われる方も多いと思いますが、睡眠負債が溜まっていない人はほとんどいないと言っても過言ではありません。
スマホなどの充電は100%以上できませんよね。
睡眠も同じで活動していれば疲れ具合でそれだけ必要になりますし、ましてや「寝だめしたから大丈夫!」というのは間違った考えです。
100%以上寝るということはできないのです。

どなたでも忙しいときはあります。大事なのは
自分の睡眠負債がどれくらい溜まっているのか認識すること
そして、必要に応じて休む時間を増やして睡眠負債と上手く付き合うこと

認識することについては次のチェックをしてみてください

✅ 寝つきは5分以内
✅ 目覚まし時計のスヌーズ機能を使いまくっていて毎朝スッキリ起きられない
✅ 午前中は頭がボーっとするなど集中力が低く、仕事や家事がはかどらない
✅ 電車やバスで座るとうたた寝してしまう
✅ 会議中や人の話を聞いているときなどに眠気に襲われる
✅ 眠気覚ましのグッズやカフェイン飲料が手放せない
✅ ソファーなどで気づいたら寝ていることが多い
✅ 湯船につかっていると寝落ちしてしまう
✅ オフの日は平日よりも2時間以上長く寝てしまう
✅ 風邪をひきやすいなど体調を崩しやすく、治りにくい

2つ以上あてはまる方、は睡眠負債が溜まっている、もしくは溜まりはじめているサインです。
5つ以上あてはまる方は、すぐに対策が必要となる状態です。
そして、あてはまる数が多いほど睡眠障害や病気になってしまう。いえ、なっている可能性だってあります。

まずは、睡眠負債の認識からはじめてください。

前の睡眠時間に戻したくても戻せなくなっている

先日、そんな悩みを抱えて相談にこられた方がいらっしゃいました。
「当時は忙しかったので、しょうがないと思っていました。でも、今は睡眠をとる時間はあるのに逆にどんどん寝る時間が遅くなってしまい、どうしようもなくなって困っています」
特に身体の調子は悪くないとのことでしたが、朝寝坊してしまうし昼間は眠いし、特に車の運転にお困りでした。

このように、長いあいだ睡眠時間を削っていると元に戻せなかったり、逆に夜に寝れない身体になってしまうこともあります。

「眠気はあるけど特に生活に支障はないから大丈夫」と思われていても、睡眠負債チェックリストで認識していただきたいと思います。
そして、意識しはじめることから睡眠改善がはじまります。

早めに改善をすれば自分でも気づかない人生での経済損失も改善され、身体的にも精神的にも穏やかで幸せなハイポフォーマンスな生活が送れることでしょう。
昼間の眠気が1ヶ月以上続く方は少しでも早い改善をしていただきたいと思います。

昼間になぜ眠気に襲われるのか

昼食をとって眠くなるのは、どなたにもあって心配なことではありません。
これは食事をとることによって、身体がリラックスして副交感神経が優位に働いてしまうのと、幸せホルモンと言われるセロトニンの分泌が促されるからです。

ですが、それ以外に眠気に襲われてしまうのは睡眠不足や睡眠の質の低下、睡眠障害が考えられます。

私にも経験がありますが
・運転中にふと寝てしまった
・ワンツーマンの打合せ中に眠気から意識が遠のき、話している内容が分からない
・上司や先生の話声が子守唄のように聞こえ、気づけば意味もなくうなずいている
・デスクで考えごとをしていたら意識が飛んでいた
・気づいたらパソコンのキーをずっと押しっぱなしだった
こういった経験はありませんでしょうか。

「前日に寝ていなかった」というように一時的で原因がはっきりしているものに関しては問題ありません。
しかし、原因がはっきりしておらず1日に何度もウトウトする・・・といういことが長期化すると睡眠負債が溜まっている睡眠の質が低下しているまたは睡眠障害の可能性が高いと言えます。

こんなデータがあります。
株式会社インテージがビジネスパーソン1,774人に行った「仕事中に眠くなることはありますか」という調査では

66.9%もの方が眠気を感じる

と答えています。
そして、この7割の方は

53.3%は昼食後

と回答されていますが

17.3%が午後
15.8%が特に決まっていない

ということが分かりました。
つまり、この午後特に決まっていない33.1%の方々が睡眠不足や睡眠の質の低下睡眠障害の可能性があると思われます。

昼間になぜ眠気に襲われるのか。
まとめますと以下が考えられます。

睡眠不足は文字通り、睡眠時間が普段よりも少なってしまっていることが原因の一つとなります。
睡眠の質の低下は、朝ごはんを食べている方でしたら急に食べなくなったなどの生活スタイルが変わったことやストレスを感じやすくなった、電気や音楽やTVを付けたまま寝落ちしてしまうことなどが考えられます。
睡眠障害は、どれだけ寝ても昼間に眠たくなる過眠症、夜寝つきが悪い、眠りを維持できない、朝早く目が覚める、眠りが浅く十分眠った感じがしないなどの症状が続く不眠症、寝ている時に呼吸が止まってしまう無呼吸症候群が代表例です。

睡眠が悪いことで人生での損失額900万円

話は変わりますが、昼間の眠気が続くなど睡眠が悪いことでどのような状態になってしまうのか。
ぜひ、知っていただきたいのでお伝えしたいと思います。

アメリカのランド研究所が日本が睡眠の質が悪いことで経済損失が15兆円にも及んでいること発表しました。
それを日本の人口と平均寿命で計算すると1人あたり人生で900万円損をしていることになります。

また、眠気のある時の作業効率眠気のない時と比べて男性で40.1%、女性で37.0%低下することが分かっています。
そして、作業効率だけの問題ではなく病気や事故なども引き起こし、それが原因で働けなくなったり治療にお金がかかったりすることも含めて損をしてしまう、ということになります。

これからの日本は税金や医療費が高騰してしまう心配もあります。
損失額は900万円にとどまらず、もっと大きくなる可能性もあるのです。

もし、あなたがこんなことをしていたら900万円損をしているかもしれません・・・

例えば、どしても明日までにやっておかなければならないことがあって睡眠時間を削って完成させられたとします。
でも、次の日の仕事のパフォーマンスはどうでしょう。
集中力や判断力が落ちて仕事のパフォーマンスが悪くなるばかりではなくミスやちょっとしたトラブルを経験されたことはないでしょうか。
または、体調を崩したり風邪を引いてしまったということはないでしょうか。

若い方は「1日くらいなんてことない」と思われるかもしれませんが、年齢を重ねるに連れて回復には何日もかかるようになってしまいます。
そして、若い人こそ「夜の方が集中できる」などの理由から睡眠時間を削って仕事をしてしまう傾向にあるようです。

1日に睡眠時間を1時間削るようになったとして1ヶ月でどれくらいになるでしょうか
簡単に計算できると思いますが、確実に睡眠不足になり睡眠負債が溜まっていきます

恐いのは、知らず知らずのうちに睡眠負債が溜まっていくということです。
そして、無理が効くときには大きな症状が出ないかもしれませんが、年をとってからの代償は高くなるリスクは十分あります。

そうなってしまったら、確実に人生での損失は900万円になっている、いやそれ以上になってしまうことはお分かりになりますよね。

睡眠がとれないことによる悪影響のまとめ

様々な資料から、睡眠がとれないことによる悪影響についてまとめてみました。
それは、大きく分け4つあります。

1つめは生産性が落ちるということです

1時間で終わる仕事が3時間も4時間も無駄に時間をかけてしまったり、ミスが増えたり、良いアイデアが産まれなくなってしまいます。
普段より時間がかかる、またミスが増えたり、良いアイデアが産まれない状態というのは、睡眠が悪いと脳に老廃物が詰まった状態であると言えます。

人の脳というのは、平均1400グラムあって1日に老廃物を7グラム排出します。
ただ、脳の老廃物は主に深い睡眠時(熟睡時)に排出するので老廃物が溜まっていって代謝が行われない状態になるのです。
身体は老廃物が溜まっていると気持ち悪いし、良いパフォーマンスができないですよね。
それと同じことが脳内で起きているかもしれないということです。

2つめは健康を害することです

あなたは睡眠不足で体調を崩したりした経験はありませんか。

睡眠が悪いことでかかりやすい病気が第1に糖尿病です。
シカゴ大学の研究によると、4時間以内の睡眠を1週間続けるとインスリンの働きが25%低下して初期の糖尿病患者と同じ処理能力になってしまうことが分かっています。

第2に認知症です。ペンシルベニア大学の研究によると睡眠不足のマウスは注意力や認知機能に関する脳の組織が25%減少していたことを発表しています。
また、ベンゾジアゼビン系睡眠薬の服用が6ヶ月を超えるとアルツハイマー発症リスクが84%に上昇(モントリオール大学・ボルドー大学)したり、睡眠不足が3~5年続くと脳体積の縮小率が大きく(オックスフォード大学MRIセンター)なります。

第3にイビキですが、ウィンシスコン医大はイビキをかくとガンの発症リスクが最大で4.8倍になることを発表していたりと健康にも大きな影響が出ることを発表しています。

第4にうつ病です。1989年、アメリカの国立精神衛生疫学集水域研究の一環として7954名の地域住民を対象に「睡眠とうつの関連性」を1年間にわたり行った追跡調査があります。
調査開始時点と1年後の再調査時の両方の時点で眠れていなかった人々は、眠れていた人々と比べてうつ病を発症する割合が約40倍も高かったと報告されています。【ダニエル・E・フォード及びダグラス・B・カメロウ。睡眠障害と精神障害の疫学研究:予防の機会?  米国医師会ジャーナル1989 9月15日; 262(11)】

3つめは人間関係が悪くなります

そもそも、睡眠不足でよい人間関係をつくろうと積極的になれる人はいませんよね。
そして、睡眠不足のときはにあまり機嫌のいい人はいません。
稀に睡眠不足で妙にハイテンションになる方もいますが、ずっとは無理です。

私自身も睡眠時間を削りまくっている時は、とにかくミス、トラブルだらけでした。
寝ないでがんばってるアピールをしてみるものの、そんなものは誰も認めてくれません。
不機嫌でつねにイライラし、キレやすかったので誰も近寄らないし、取引先にも敬遠されていました。
また、車の運転をすればしょっちゅう違反や事故で免停になることも多かったです。取消の危機もあったくらいでした。

そんな人だれも一緒にいたくないです。
いつも明るくて、楽しく仕事ができ、ミスやトラブルのない人の方がいいですよね。

睡眠不足だと脳の代謝が悪くなり、冷静な判断ができなくなり、イライラしたり感情的になりやすくなるのです。
結果、人間関係が悪くなってしまうというわけです。

4つめはチャンスをつかめなくなります

その場での判断ができず「あの時に決めておけば…」といった経験はありませんか?
その時の状態は、だいたいコンディションが悪かったのが原因といえます。
ここまでお読みいただいていればお分かりになると思いますが、睡眠不足のときに、ベストな状態で良い判断ができるはずがありません。

睡眠が悪いと脳の代謝が悪くなることから瞬発力がなくなり、自分をステージアップさせてくれる機会に巡り合えてもチャンスと捉えられないので掴めません。
逆に脳の代謝が良くて冴えていると感も働きやすくなるし、商談でも話している最中にチャンスと感じれば有利に進めやすくなったり良い作戦を練りやすくなりますよね。
つまり、判断力が鈍くなってよい機会を失ってしまうということです。

眠気が襲ってきたときにその場でできる応急処置

すぐにできるおススメ5つの方法

「十分な睡眠時間をとろう」「深くぐっすり眠ろう」といわれても、仕事や勉強があればなかなかそうもいかないのが現実ですよね。
仕事中に眠気を感じると「席を立ってオフィス内を歩く」、「顔を洗う」、「ストレッチをする」、など工夫をされていると思います。
その他「短い時間でも仮眠をとる」、「目をつむる」、「休息をとる」といった方法もありますでしょうか。

このように、立ち上がって身体を動かしたり、休息や仮眠をとったりする方法は、眠気覚ましとしては非常に有効です。
しかし、たとえば会議中など、シチュエーションによっては、他の人に分かるような眠気対策はとれません。
そこでここからは、他人にバレにくい眠気対策で、即効性のある5つの方法をご紹介します

 【深く息を吸って出来るだけ止める】これは酸欠になっている脳に酸素がいくので眠気を吹き飛ばすのに効果があります。

 【眠気覚ましのツボを押す】親指と人差し指の付け根が交差する骨のくぼみにある「合谷(ごうこく)」、中指の爪の根元で生え際より2~3mm下にある「中衝(ちゅうしょう)」、手のひらの真ん中で手をグーのかたちにしたときに中指と薬指の先が当たる「労宮(ろうきゅう)」。痛気持ちよいくらいの強さで数秒間押して、数秒間休んで、を2~3回繰り返します。

 【カフェインを摂取する】コーヒーやエナジードリンクなどで摂取しますが、普段から飲まれている方は効かない場合もありますのでカフェイン濃度が高い錠剤やタブレットを活用してみてください。※錠剤やタブレットは緊急時だけにしてください。

 【ガムやチョコレートを食べる】ガムを噛んでもよい場合に限られますが、ガムは噛むことによって脳が刺激されます。また、チョコレートは覚醒作用のあるテオブロミンを含むダークチョコレートがおすすめです。

 【冷却シートを使う】首筋や後頭部の髪の生え際に貼ってみてください。本当は頭を氷袋などで冷やすと
スッキリするので氷水が一番お勧めなのですが、仕事中はそういかない方も多いと思いますので冷却シートを代用します。冷やす行為は身体をリラックスさせる副交感神経の働きを抑制するので眠気対策になります。

ですが、これはあくまでも応急処置ですので根本解決ではありません

この応急処置の頻度が高い方は、睡眠不足、睡眠の質の低下、睡眠障害の可能性があるのですぐに根本的な睡眠改善をしてください

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